西洋医学の得意な分野、不得意な分野
西洋医学は科学そのものだと述べました。科学は、目に見える物質を扱います。
科学である医療においても、目に見えるものの変化から病気をとらえます
。
すなわち、血液や皮膚、骨、内臓など実際に肉眼で確認できるものから、血液の成分や細胞など最新の医療機器によって計測される数値まで、目に見えるものを用いて病気を診断し、治療していくのです。
しかし、前述したように、治療は医者の仕事の2割にしかすぎません。
科学としての医学の成果は、おもに診断の分野で発揮されてきました。CTやMRI、超音波検査など、体の内部を隅々まで調べることができる高度な検査機器が生み出されてきたことからも、それは明らかです。
とは言っても、西洋医学が治療の分野でまったく役に
立たないわけではありません。
西洋医学には得意な分野、不得意な分野があるのです。
西洋医学が得意とする病気は、急性疾患です
。急性疾患に対しては、西洋医学はとても有効です。急性疾患とはどういうものかといえば、放置すれば死に至る危険性のある病態や外傷、それに感染症などのことをさします。
このような急性疾患では原因が何であれ、まず
苦痛を取り除くなどの緊急避難的な措置が必要です
。いちいち、どうしてそのような病態になったのかなどといった原因を探っている余裕などありません。このような場合には、西洋医学の出番で、すみやかな対症療法が必要なのです。
より具体的に述べるならば、たとえば
急性心筋梗塞を起こした患者さんや、ひどい外傷を負った患者さんに対しては、それぞれ、カテーテルを用いた治療、外科的な処置が行われます
。そして、その対症療法は劇的な治療効果があります。
私自身、長い間、外科医として治療に携わってきましたが、急性疾患に対する西洋医学の有効性は肌身にしみて認識しています。急性疾患に対しては西洋医学ほど効果のある医療はないと言ってもいいでしょう。
しかし、問題なのは、急性疾患の病気ばかりではないということです。病気全体で見れば、急性疾患はほんの一部に過ぎず、
緊急の治療を要しない慢性疾患のほうが圧倒的に多い
のです。
糖尿病や高血圧、高脂血症、腎炎、肝炎、胃炎などの慢性疾患は、検査をしてみると異常な数値を示しますが、自覚症状はほとんどなく、たとえ多少なりともあったとしても日常生活に支障をきたすようなことはまずありません。
何か月、何年もかけて治療を行うことになりますが、急性疾患とは対照的に西洋医学ではなかなか根治させることはできないのです。
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